日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第67回(2016)
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学際的シンポジウムⅢ
文化としてのスポーツが定着するとはどのようなことか
長野冬季オリンピックにおけるカーリングの取り組みを事例として
石坂 友司
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p. 24_2

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抄録

 2020年東京大会の開催に向けてレガシーの創出が声高に叫ばれているが、内実は不明瞭なままである。レガシーという言葉自体は、IOCのブランド戦略の一環で、ポジティブな意味合いを付与されたオリンピックの遺産を指すものとして近年使われてきた。

 加えて、東京でのオリンピック開催は景気回復のため、都市の再開発のため、スポーツ界の基盤整備のためなど、手段的意味合いで語られることが多い。また、メダルをいくつ獲得するのかといった強化戦略に焦点が当てられ、そもそもオリンピックをどのような理念で開催するのか、オリンピズムをどのように継承していくのかといった問いに開かれることはあまりない。そこには「文化としてのスポーツ」をどのように地域や都市、国に根づかせるのかといった文化論的な問いが欠けているのである。

 本報告では、演者が2008年から調査を行ってきた、開催から10年余りを経過した長野冬季オリンピックの事例の中から、カーリングにおける軽井沢町と隣接する御代田町の取り組み(レガシー)を紹介しながら、スポーツが文化として創造され、継承されるとはどのようなことを指すのかについて、具体的事例からアプローチしたい。

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