日本体育学会大会予稿集
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第68回(2017)
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一般研究発表(03) 体育心理学
03心−09−ポ−71(44) 自転車競技における制約と集団のパターン形成
*奥村 文浩山本 裕二
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p. 117_3

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抄録

 自転車競技は空気抵抗が重要であり、多人数出走種目では集団を形成して空気抵抗を低減し体力を温存する。他選手の後方に位置し風除けとすることはドラフティングと呼ばれ、後方の選手はエネルギー消費を節約できるが、先頭の選手はこの利益がないため、駆け引きが生じる。他方で、集団を維持し、自らのエネルギー消費を節約するために、選手同士で先頭を交代で担当するといった競争相手との連携が自転車競技の大きな特徴である。本研究では、自転車競技における集団のパターン形成を解明するため、トラック競技の一種目であるポイントレースを撮影した。この種目は、一定周回ごとに上位4名に点数が与えられ、その合計を争う。前車との間隔とドラフティング効果の関係式(Olds,1998)に基づき、前車との距離3mを基準として集団を定義し、集団を分析した。その結果、一定周回で与えられるポイントを獲得するという競技の制約に対応して、集団は分割と結合を繰り返し、集団の分割パターンは複数存在することが分かった。このような自転車競技の集団形成にはエネルギー節約という課題の制約下での人間同士の振舞いに関する普遍的な法則が含まれている。

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© 2017 一般社団法人 日本体育学会
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