主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第68回大会
開催地: 静岡大学/静岡県コンベンションアーツセンター
開催日: 2017/09/08 - 2017/09/10
p. 263_2
教師のもつ信念は、教師の認知や行動を規定し子どもの学びにも影響を与える(吉崎1997,秋田2008)。本研究では、信念を「望ましいあり方についての価値意識」と定義し、朝倉(2016)の信念分類を参考にしながら、小学校体育授業と専門教科(社会科)での信念変容過程を比較検討することを目的とした。教師信念変容の分析には、①インタビュー調査と②教師行動分析を用いた。①のインタビュー調査では、体育科を専門教科とする筆者が授業リフレクションにメンターとして関わった。また、信念変容と関わりのある子どもの学びの様子を分析・検討するため、(ア)エピソード記述、(イ)児童による授業評価、(ウ)有能感調査分析を実施した。
その結果、体育授業では、不明瞭な楽しさを有していた「教材観」から、他者からの働きかけによる楽しさへと「教材観」の変容が考察された。また、「教材観」「学級経営観」と関連させながら、仲間との関わりをより重視した「指導観」への変容が体育授業、社会授業共に認められた。今後の課題として、同一教師の縦断的調査、観察者の関与方法や教職経験年数による違いの分析・検討が挙げられる。