日本体育学会大会予稿集
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第68回(2017)
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一般研究発表(11) 体育科教育学
11教−09−口−51 体育授業における「強制」についての研究
教師が直面する「教育的二律背反」に着目して
*草津 晃平鈴木 秀人
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p. 270_3

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抄録

 本研究の目的は、体育授業を行う教師が教育的行為として行使する「強制」の目的や意味を明らかにし、教師の認識における「自由」と「強制」の構造を検討することである。矢野(1996)、中井(2000)、秋池(2016)に代表されるように、教師による強制の行使については、理論的に肯定され、また否定される「教育的二律背反」の指摘が多く存在する。教育学において強制が語られるとき、反命題として自由が挙げられ、二律背反が論じられる。教育学における強制とは、発達上・教育上の必要性としてのパターナリズム的指導、学習内容の一律化が指摘され、一方、自由とは子どもの人権の保障、主体性や個性の尊重が挙げられている。特に体育授業では、教師による身体の規律訓練という強制、また、生涯スポーツを理念に掲げ子どもの自発的な運動への取り組みを尊重する自由が並存し、教育学の二律背反がより顕著に現れ、他教科以上に教師が直面する事象であると考えられるのである。

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© 2017 一般社団法人 日本体育学会
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