日本体育学会大会予稿集
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第69回(2018)
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一般研究発表(02) 体育社会学
02社-24-口-11 遊びの「深さ」と応援団
東京六大学野球におけるフィールドワークを通して
*井上 智介
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p. 81_2

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抄録

 一般的に時代錯誤と揶揄される独特な行動様式を堅持している大学応援団リーダー部は、瀬戸(2013)によると、象徴的、儀礼的で神聖な応援空間を形成する「聖」なる祭祀集団として必然性を持つと述べられている。しかしスポーツ応援とは本来「俗」から気楽に離脱した「遊び」であるにも関わらず、観客は「遊び」の自由さを放棄して「聖」なる性質を持つ応援団の形成する集合的応援に巻き込まれるのである。このスポーツ応援空間における矛盾に対して井上(2018)は、「聖」と「遊」の連続性を認めるホイジンガの視点に立脚すると、「聖」なる厳格さ・シリアスさと「遊」なる気楽さ・自由さが重なり合う体験、即ち「俗」から離れた「深さ」を共有する遊びの「深さ」体験として理解できる可能性が示唆されると述べている。

 そこで本研究では、大学応援団リーダー部と観客の相互関係に着目し、スポーツ応援空間における遊びの「深さ」体験を実証的に明らかにすることを目的として、東京六大学野球を対象としたフィールドワークを行ってみたい。

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