日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第70回(2019)
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浅田学術奨励賞受賞記念講演
「快としての体罰」にどう向き合うか
松田 太希
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p. 33

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抄録

 「運動部活動における体罰の意味論」は、指導者と選手が体罰をどのように意味づけているのかを論じたものだった。しかし、なぜそのような議論を提出することが必要だったのか。

 体罰は現に発生しているのだから、その解決や善悪を語る前に「そこではいったい何が起きているのか?」を、まずは明らかにする必要があったのだ。その点について、受賞論文では、運動部活動空間の権力性=暴力性への着目から、指導者が体罰を行使する心的過程と体罰を甘受する選手の心的過程を論じた。そこで浮かび上がってきたのは「自己保存の欲望を満たす快としての体罰」だった。

 しかしそうした議論は、われわれをどこに連れて行くのだろうか。じつは、受賞論文は、体罰という現実をありのままに説明したにすぎず(善悪の彼岸!)、問題の解決に貢献していないのではないか?もちろん、演者はそうは考えていない。そのことについて、「批判とは何か」、そして「暴力の意義と未来」という問題を視点に考えながら、受賞論文への理解を深化・進化させ、今後のさらなる研究の展開を臨みたい。

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© 2019 一般社団法人 日本体育学会
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