2015 年 30 巻 4 号 p. 923-926
がん治療における栄養療法の意義は高まっている。がんの長期的予後や手術療法やがん化学療法の短期成績にも栄養障害が関わることが分かってきたことから、栄養療法は必然のものと理解されている。また、がん治療の柱ともいえる手術療法、化学療法では特に腸管を使った栄養剤の投与が推奨されている。一方、その投与ルートの選択は容易ではない。腸瘻、胃瘻そして経口投与があるが、経口投与では嗜好や腹部の張り、嘔気などから、投与は容易ではない。また、栄養剤と通常摂取する食事とのバランスも難しい。したがって、今後は創傷治癒目的などの目的別の栄養療法、が主流となるのではないかと考える。これらの問題点と、今後のがん治療における経腸栄養剤による治療の可能性について述べる。