抄録
超高齢社会が進展するにしたがい、医療を必要とする患者の年齢層や状態、その疾病構造も大きく変化してきた。1990年代以前の患者の多くは、比較的体力のある若い患者であったため、高侵襲の手術や大量の薬剤投与等による治療にも十分に耐えることができ、急性期医療は、医師・看護師を中心とした少数精鋭の専門職と、薬剤や医療資材を中心とした治療が可能であった。管理栄養士もまた、食事せんどおりに食事をつくり患者のもとに運べば、自力で摂食できる患者が多かったため、ある意味、厨房と自身の机の上で仕事を完結することができていた。しかし、時代は変わり、90年代から2000年代にかけて、患者が急速に高齢化し、高齢患者の多くは、低栄養やサルコペニア、摂食嚥下障害、褥瘡などさまざまな合併症の高リスク患者であり、複雑な病態を呈している。このような現状をふまえ病棟栄養管理の中心を担う管理栄養士の役割を概説する。