日本静脈経腸栄養学会雑誌
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Post-Intensive Care Syndromeと栄養管理
福家 良太
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2016 年 31 巻 3 号 p. 817-820

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抄録

近年の集中治療の進歩により重症疾患の生命予後は大きく改善しているが,新たな問題として,これまで軽視されてきた ICU退室後あるいは退院後の様々なアウトカムが注目されるようになってきている。すなわち,これまで許容されてきた「急性期は救命できても長期的に見ると機能予後や QOLが悪化している生存者」が無視できない状況となっており,これを Post-Intensive Care Syndrome(以下,PICSと略)と称する。PICSは,ICUでの集中治療後に生じる身体・認知・精神機能障害である。これらは,重症疾患の侵襲のみならず,救命のためによかれと行われてきた医療介入による侵襲も原因となる可能性が多くの報告で指摘されるようになっている。本総説では,PICSの概念・原因・予防と関連する栄養療法のエビデンスについて述べる。

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© 2016 日本静脈経腸栄養学会
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