抄録
症例は56歳男性。噴門部胃癌と膵体部腫瘍の診断で胃全摘、脾・膵体尾部合併切除術を施行した。術後に膵液瘻と食道空腸吻合部の縫合不全を合併し中心静脈栄養を行ったが改善がみられなかったため第13病日にW-ED®tubeを留置し、吻合部の減圧と成分栄養剤による持続経腸栄養を行った。栄養状態は徐々に改善し、W-ED®tubeと腹腔内ドレーン排液も徐々に減少した。第76病日にleakageが消失、第84病日にW-ED®tubeを抜去し第92病日に退院した。W-ED®tubeは上部消化管の縫合不全で吻合部の減圧治療と経腸栄養を同時に行える有効な手段であると考えられた。