日本静脈経腸栄養学会雑誌
Online ISSN : 2189-017x
Print ISSN : 2189-0161
原著
小児難治性潰瘍性大腸炎に対する糞便移植の有効性と安全性
吉年 俊文岩間 達菊地 馨勝連 真人泉川 留里子儀部 由紀子
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 33 巻 3 号 p. 881-887

詳細
抄録

【目的】大腸全摘術が必要と考えられる小児難治性潰瘍性大腸炎患者における糞便移植の有効性を検討する。【方法】沖縄県立中部病院における単施設記述研究である。2015年8月から2017年7月に糞便移植を施行した15歳以下の潰瘍性大腸炎患者を対象に、患者背景や移植目的、方法、治療効果、合併症など、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】対象者は2歳から14歳の4名で、生物学的製剤などを使用しても寛解導入が困難な難治性潰瘍性大腸炎例であった。投与経路は、1例は大腸内視鏡下で経結腸投与し、3例は食道経由経腸栄養用チューブを使用した。1例は24ヶ月間の臨床的寛解維持に成功し、2例は一時的な臨床的寛解を示した。糞便移植による重篤な合併症はなかった。【結論】小児難治性潰瘍性大腸炎に対して糞便移植は安全に施行でき、一部の症例は臨床的寛解を示した。糞便移植は手術に繋がる前の一時的な寛解導入の治療となりうる。

著者関連情報
© 2018 日本静脈経腸栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top