2018 年 33 巻 5 号 p. 1105-1110
腸管は、外傷、熱傷、敗血症、ショックなどの大きな侵襲をうけると、腸内細菌叢崩壊、腸管免疫の低下、バクテリアルトランスロケーションなどが引き起こされ、腸管からの炎症反応が全身の多臓器障害の進行に中心的な役割を果たすと考えられている。シンバイオティクス療法は、生菌のプロバイオティクスと、増殖因子であるプレバイオティクスを併用する治療法のことであり、腸内細菌叢および腸内環境を維持し、侵襲時の感染合併症を制御する治療として注目されている。本稿では、重症病態における腸内細菌叢の変化およびプロバイオティクス・シンバイオティクス療法の効果を示す。