日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
小児短腸症候群の栄養管理
米倉 竹夫森下 祐次山内 勝治木村 浩基梅田 聡石井 智浩
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2019 年 34 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

短腸症候群(short bowel syndrome;以下、SBSと略)は腸管大量切除などにより腸管量が少なくなり消化吸収障害をきたす病態で、先天的または後天的疾患によりその多くが新生児期に発生する。腸管量の減少により水分・電解質の喪失や消化吸収障害をきたすことから、水分・電解質の補充とともに静脈栄養法(parenteral nutrition;以下、PNと略)や経腸栄養法(enteral nutrition;以下、ENと略)を中心とした栄養管理が必須となる。小児SBSでは体重増加不良や成長障害の発生を認めるほか、長期PNに依存する症例では感染症や肝障害などの重篤な合併症をきたしやすい。SBSの治療の目標はPNから離脱し経腸の自律(enteral autonomy)を獲得することである。このためには多職種からなる腸管不全対策チームによるリハビリテーションを行い、PNからENへの移行をすすめることが重要である。ここでは小児SBSの病因と予後因子、SBSにおける栄養管理と合併症、腸管延長術など外科的治療を含んだ腸管リハビリテーションについて報告する。

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© 2019 日本静脈経腸栄養学会
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