日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
静脈栄養における医療安全
寺坂 勇亮
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キーワード: CRBSI, PICC, refeeding syndrome
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2019 年 34 巻 3 号 p. 154-158

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抄録

静脈栄養で用いる栄養剤、血管アクセスデバイスは適切な知識が無いと不要な合併症を起こす危険性がある。末梢静脈栄養用のアミノ酸加糖電解質製剤を不適切に使用することでBacillus属やCandida属によるカテーテル関連血流感染症を来すことがある。特にBacillus属は芽胞形成菌であるため、輸液ラインの接続部をアルコール消毒するだけでなく、物理的にしっかり拭くことで発症の予防に努めなければならない。末梢静脈栄養は、細く脆弱な静脈から栄養剤を投与してしまうと静脈炎や皮膚潰瘍を来すことがある。中心静脈栄養を行う場合、穿刺時の致死的合併症の回避のために末梢静脈挿入型中心静脈カテーテルの挿入が可能かを最初に検討する。Refeeding syndromeは、まず高リスク患者を認識して、最初の数日間、血清リン値を含めた電解質を測定しながら、電解質・ビタミン・微量元素の補充を行い、少量の栄養投与から始めて合併症の回避に努める。

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© 2019 日本静脈経腸栄養学会
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