体力科学
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中年者における体脂肪沈着度と二・三の体力指標との関係について
小野 三嗣小林 元子
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1971 年 20 巻 3 号 p. 142-150

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抄録

35才以上50才未満の健康な男子51名, 女子67名の身長, 体重, 皮下脂肪厚, 握力, 血圧の測定を行ない, 同時に体力テストの目的で, 5分走, 伏臥上体そらし, 立位体前屈, 垂直跳, 反復横とび, ジグザグドリブルを行なわせ, 大要次のような結果を得た。
(1) 男子は身長・体重の割合に皮脂厚が少く, 女子はやや多かった。
(2) 5分走能力は皮脂厚の小さいものがすぐれていて, 加令低下がみとめられた。
(3) 伏臥上体そらし能力は皮脂厚の大きな方がすぐれていた。
(4) 体前屈も傾向的には皮脂厚の大きなものが良かった。
(5) 垂直跳は皮脂厚が小さい方が良い傾向を示した。全体としての水準も高かった。
(6) 反復横とびは全体に水準が低く, 特に男子で著しい。
(7) ジグザグドリブルの記録はほぼ標準的であり, 皮脂厚の大きなものがすぐれた成績を示す傾向がある。
以上のような諸事実等から体脂肪の持っている体力医学的意味を考察し, 体重あたり体脂肪下限界として中年男子12%, 中年女子25%が, 筋の老化を防ぐために必要であることを主張した。

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© 日本体力医学会
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