体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
持久性走者の長時間運動時における呼吸循環応答特性
平木場 浩二浅野 勝己
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 32 巻 5 号 p. 293-301

詳細
抄録

本研究は, 持久性走者10名 (runner群) および一般成人男子9名 (control群) を対象に, 自転車エルゴメーターによる長時間運動時 (60%Vo2max, 60分間) の呼吸循環系応答を測定し, 一般成人男子との比較から持久性走者の呼吸循環系応答の特徴を明らかにするとともに1呼吸循環系のdriftと有気的作業能力との関連牲について検討した。
結果は以下のように要約できる。
1) control群では, VEが運動10分目から60分目まで約20%ほど有意に増加し (P<0.05) , それに対応してPAco2は有意に低下した (P<0.05) 。
2) runner群では, VEおよびPAco2は運動中一定レベルに維持され, VE driftが認められなかった。
3) 一長時間運動に対するHRおよびSVの適応様式には両群間に差異は認められなかった。
4) 運動10分目から60分目までのHRおよびSVの、変化率 (△%) を比較してみると, runner群ではcontrol群よりもその変化率が小さいことが認められた (HR: +10.7%VS+20.9%, SV: -11.1%VS-18.3%) 。
5) 有気的作業能 (Vo2max) と運動10分目から60分目までのVE, HRおよびSVの変化率との間に有意な相関関係が認められた (r=-0.534, P<0.05, r=-0.565, P<0.05, r=0.588, P<0.01) 。
6) 以上の結果は, runner群はcontrol群よりも長時間運動時の呼吸循環系のdriftの程度が小さく, そのdriftの程度は持久性トレーニングにより改善される可能性のあることを示唆している。

著者関連情報
© 日本体力医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top