体力科学
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血清および血管壁コレステロール代謝に及ぼす身体運動のトレーニング効果
東 悳彦武井 信子鈴木 聡広田 公一坂元 晃史
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1987 年 36 巻 2 号 p. 95-102

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抄録

Wistar系雄ラット (7週齢, 体重200g前後) にトレッドミルを用いて8週間の運動を負荷し, それが血清および血管壁コレステロールの代謝に如何なる影響を及ぼすかについて検討した.運動の条件は15m/分, 1, 000m/日, 6日/週であった.運動群ラットは, 同週齢の非運動群対照ラットに比較して, 次のような知見を与えた.
1.体重が著しく少ない.
2.血清コレステロール値 (総-, 遊離-, LDL-コレステロール値) が有意に低い.
3.14C-メバロン酸の血清コレステロールへの取りこみが高い.
4.血清LCAT活性が高い.
5.血管壁コレステロール量が少ない.
6.14C-メバロン酸の血管壁コレステロールへの取りこみが高い.
以上のような実験結果は, 運動のトレーニング効果として, 血清および血管壁におけるコレステロールの代謝回転が亢進され, 血管壁へのコレステロールの沈着が抑制されることを示すもので, 身体運動は動脈硬化の予防上有効であることが示唆された.

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