抄録
本研究は, 筋疲労時の筋伸展の遅延及び収縮残遺の発現を検討する目的で行なった.被検者は, 最大筋力の30%の荷重を1秒1回の頻度で2cm挙上する把握動作を挙上不可能になるまで実施した.この時, 前腕囲の変動をラバーゲージにて検索し, 筋の動態を経時的に検討した.
(1) 筋弛緩過程の前腕囲は, 反復回数の増加に従い, 荷重下降期間や落下後の周径変化率が増大した.
(2) 筋収縮開始時の前腕囲は, 反復回数の増加に従い増大した.
(3) 動作終了後, 前腕囲は数分間増大し, ついで漸次減少した.しかし, 40~60分経過後も動作前値に回復しなかった.
以上の成績から, 筋疲労発現時に筋伸展が遅延し, 同時に収縮残遺が発現することも示唆された.