筋パワー発現時の筋の動態を検討する目的で本実験を行なった.被検者は, 最大底屈力の20, 40, 及び60%の荷重を最大努力で挙上する底屈動作を実施した.この時, 下腿の周径変化をラバーゲージにて記録した.
(1) 筋パワーは, 約60%MVCの負荷条件で最大となった.
(2) 筋パワーは, 荷重挙上開始初期の周径変化量と有意な関係があった.しかし荷重挙上速度が最大となる期間の周径変化量とは, 相関がなかった.
本実験で筋パワーが約60%MVC条件で最大となったのは, 腓腹筋の収縮特性に因るものと推察された.また筋パワー発現に, 荷重が慣性負荷となる前の抗重力的筋活動がとくに重要なことが示唆された.