体力科学
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複合トレーニングが人体筋の力・速度・パワー関係に及ぼす影響
田路 秀樹末井 健作金子 公宥
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1995 年 44 巻 4 号 p. 439-446

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抄録

肘屈筋群の力-速度関係とパワーに及ぼす複合トレーニングの効果を知るため, 一般男子大学生18名を次の3群に分け, 週3日, 11週間のトレーニングを行った.すなわちトレーニング群は, 1) 最大筋力の30%負荷 (30%P0) で最大パワーを発揮する単一トレーニング群 (G30群) , 2) 最大パワーの発揮に加え, 無負荷 (0%P0) で最大速度を発揮する複合トレーニング群 (G30+0群) , 3) 最大パワーの発揮に加え, 最大筋力 (100%P0) を発揮する複合トレーニング群 (G30+100群) の3群とし, 次の結果を得た.
1.最大パワーの増加はG30+100群で最も著しく, 次いでG30+0群, G30群の順となり, それらすべてが統計的に有意な増加であった.また, G30+100群とG30+0群の増加量間に有意差が認められた.
2.最大筋力の増加はG30+100群で最も著しく, 次いでG30群, G30+0群の順で, 上位2群の増加に有意性が見られた.またG30+100群とG30群の増加量間に有意差が認められた.
3.最大速度はすべての群で有意に増加したが, 各群の増加量間には有意差が認められなかった.
以上の結果から, パワー・トレーニングにおいて, 筋力強化を加えた複合トレーニングは, 単一負荷のトレーニングと同様に優れた効果を発揮するとともに, スピードを重視した複合トレーニングよりも効果的であることが示唆された.

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© 日本体力医学会
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