体力科学
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実験的骨粗鬆症モデルラットに及ぼす走運動の効果
木内 敦詞七五三木 聡天貝 均大野 敦也勝田 茂
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1997 年 46 巻 1 号 p. 77-85

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抄録

本研究は, 閉経後骨粗鬆症の実験モデルとしてOVXラットを用い, OVX後の骨の変化を皮質骨と海綿骨の量的変化および組織学的特徴から検討し, これらが運動負荷によりいかなる影響を受けるかを調べたものである.実験にはWistar系雌性ラットを用い, 偽手術・コントロール群 (Sham-C群) , 偽手術・トレーニング群 (Sham-T群) , 卵巣摘出・コントロール群 (OVX-C群) , 卵巣摘出・トレーニング群 (OVX-T群) の計4群を設けた.卵巣摘出および偽手術は14週齢時に行い, トレーニングは17週齢より10週間のトレッドミル走とした.トレーニング期間終了時に, 脛骨を摘出後, 脱脂乾燥骨重量, 骨塩量を測定し, さらに海綿骨の組織形態計測を行った.
得られた結果は以下のとおりである.
1.脱脂乾燥骨重量および骨幹部骨塩量において, OVX-C群とSham-C群の有意な差異は認められなかった.しかし体重あたりの骨塩量ではOVX-C群がSham-C群に対し有意な低値を示した.また, 海綿骨の単位骨量ではOVX-C群がSham-C群よりも有意な低値を, LS/BSをはじめとする骨形成パラメータでは逆に有意な高値を示した.
2.海綿骨単位骨量および体重あたりの骨塩量は, OVX-T群がOVX-C群に対し有意な高値を示した.骨形成パラメータでは両群に有意な差は認められなかった.
3.上記のすべての測定パラメータで, Sham-C群とSham-T群の間に有意な差異は観察されなかった.
以上の結果から, 運動は卵巣摘出による骨量の減少に対し抑制的に作用することが示された.また, これは骨形成の促進よりはむしろ骨吸収の抑制に起因する可能性が示唆された.

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