体力科学
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膝伸展運動時にみられる協働筋間での酸素供給・消費バランスの相違
本間 俊行本間 幸子加賀谷 淳子
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1998 年 47 巻 5 号 p. 525-533

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抄録

本研究では, 活動筋の酸素動態を筋への酸素供給と筋での酸素消費の観点から筋別に評価することにより, 運動強度の変化に対して肺胞での酸素摂取量が変化する過程において, 協働筋の酸素動態がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした.被検者は年齢21~22歳の体育専攻の女子大学生7名であった.運動は椅座位姿勢での膝関節伸展運動とし, 0Wから2分毎に休息を挟みながら5Wずつ負荷を増加させるプロトコールでの運動を行わせた.肺胞での酸素摂取量は10秒間のmixing chamber法で測定した.外側広筋と大腿直筋を被検筋とし, 筋の酸素動態を近赤外分光法を用いて評価し, さらに表面筋電図を記録した.
その結果, 膝伸展運動の強度の増加に対して, 50%Vo2peak以下の比較的低い運動強度では外側広筋と大腿直筋における酸素の供給と消費のバランスには顕著な変化がみられなかった.しかし, さらに強度が高くなると筋での酸素の供給と消費のバランスに変化がみられ, 大腿直筋の方が外側広筋と比較してより低い強度で脱酸素化が亢進し始めた.このことから, 膝伸展運動の強度の増加に対して肺胞での酸素摂取量が変化する過程において, 協働筋である外側広筋と大腿直筋での酸素の供給と消費のバランスは, 運動強度に対して筋間で異なった変化を示すことが明らかになった.

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© 日本体力医学会
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