体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
様々な強度での等尺性運動時における持続時間と疲労因子との関連について
木村 直人勝村 俊仁浜岡 隆文下光 輝一
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 47 巻 5 号 p. 549-560

詳細
抄録

本研究の目的は, 磁気共鳴分光法 (31P-MRS) と近赤外分光法 (NIRS) とを用いて, 等尺性運動負荷時に見られる局所的な筋疲労, 特に運動強度の違いが筋疲労の程度や筋持久力 (持続時間) に及ぼす影響を細胞内の代謝および酸素動態の面から観察し, さらに各負荷強度の持続時間.どの関連について検討を加え, 以下の結果を得た.
1) 各相対強度での持続時間は50%MVCで95.3±13.6秒, 30%MVCで209±41.9秒であり, また低強度の10%MVCでは963±236秒と, 50%MVC時の10倍であった.
2) 運動中の各測定項目の変動をみると, 運動開始時においてPCrの低下及びPi (H2PO4-) の上昇が見られた.細胞内pHは運動開始40秒 (50%MVC) ~347秒 (10%MVC) まで安静時レベル (-6.95pHunit) 維持したものの, それ以降'低下を示した.また各測定項目 (pH低下率及びH2PO4-増加率) とも強度の上昇に伴いその変化の程度は増大を示した.
3) 筋内の酸素化レベルは, 全ての強度において運動開始時直後から直線的に低下を示した.しかしながらその後の変化は各強度間で異なり, 10%, 30%MVCではその後上昇し一定レベルを維持した.一方50%MVCではさらに低下し, 平均値において10%を下回っていた.
4) 各相対強度におけるpH低下率及びH2PO4-増加率と持続時間との間には, いずれも負の相関関係が認められた.pH低下率と持続時間との問にはr=-0.578~-0.871の相関係数が得られ, 10%, 30%MVCではそれぞれ有意 (P<0.05) であった.また, H2PO4-増加率との間にはr=-0.370~-0.740の相関係数が得られた.
本研究の結果から, 最大下の等尺性運動時における筋持久力 (持続時間) には, 筋興奮・収縮連関やエネルギー供給系に対して直接あるいは間接的に関与する細胞内pHの低下率が重要な因子であることが示唆された.

著者関連情報
© 日本体力医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top