体力科学
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換気性作業閾値 (VO2GET) の算出に適した運動負荷法およびGET判定法に関する研究
上岡 方士伊東 元鈴木 政登
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2000 年 49 巻 3 号 p. 393-401

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抄録

本研究は, 有酸素性作業能の指標の1つである換気性作業閾値 (gas exchange threshold; VO2GET) の算出において, VO2GETの再現性, 判定の難易性および最大酸素摂取量 (VO2max) との相関性の面から望ましい運動負荷法およびGET判定法を吟味する目的でなされた.被験者は健康成人男性5名であり, 自転車エルゴメータにより3種類の運動負荷法 (RAMP負荷, 1W/3秒; STEP-1負荷, 20W/分; STEP-2, 40W/2分) で順序無作為にそれぞれexhaustion (疲労困憊) まで4~8回, 合計82回負荷した.漸増負荷運動時の換気パラメータ (VE, VO2, VCO2) はbreath-by-breath法で測定し, GETの判定にはVE/VCO2の上昇を伴わずにVE/VO2のみが上昇する点 (M-1) , V-slope法 (M-2) およびM-1とM-2とを合わせて判定する (M-3) による3種類の判定法を用い, GETが容易に判定された場合 (J-A) , 容易に判定された場合と判定に迷った場合とを加えた場合 (J-B) に分けて評価した.尚, VO2maxおよびVO2GETの再現性は変動係数 (CV) で, VO2GETとVO2maxとの関連性は相関係数 (r) で示した.
1) VO2maxの再現性 (CV) は5名の平均ではRAMP (4.8% (n=25) ) , STEP-1 (3.1% (n=28) ) , STEP-2 (2.9% (n=29) ) であり, STEP-2が最も高かった.この3種類の運動負荷法によって得られたVO2max値には有意な差はなかった (二元配置分散分析) .
2) VO2GETの再現性はRAMP負荷法で得た換気パラメータをV-slope法 (M-2) で容易に判定 (J-A) された場合に最も優れ, 5名の平均CVは2.8%であった.3種類の運動負荷法の違いによるVO2GET値には有意差はなかった (二元配置分散分析) .また, 5個のGET判定法によってもVO2GET値に有意差はなかった (二元配置分散分析) .
3) 最も高いVO2maxとVO2GETとの間の相関係数 (r) はM-2 (J-A) で判定されたVO2GETとRAMP負荷法によって得られたVO2maxとの間にみられた (r=0.976, n=20) .
以上の結果から, 換気性作業閾値 (VO2GET) の算出には運動負荷法としてRAMP負荷法が, GET判定法としてはV-slope法を用いるのが望ましいことが示された.

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© 日本体力医学会
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