2015 年 52 巻 5 号 p. 405-408
難治性固形腫瘍に対する緩和的化学療法として,様々な組み合わせの抗癌剤が試みられている.その一つであるイリノテカン・テモゾロミドの併用療法(IT療法)について,海外での報告は散見されるが,国内ではまだ報告が少ない.我々はfirst lineまたはsecond line以降の治療後再発または進行性の症例で,IT療法を受けた難治性固形腫瘍の8例を後方視的に検討した.疾患はEwing肉腫/PNETが3例,未分化肉腫,肝芽腫,乳児線維肉腫,腎芽腫,神経芽腫がそれぞれ1例であった.8例が計27コースのIT療法を受けた.各症例は中央値で3コース(範囲1–11コース)の治療を受け,最大治療反応でpartial responseが3例, stable diseaseが4例, progressive diseaseが1例であった.最終予後は,4例が原病により死亡し,3例が担癌生存,1例が無病生存(手術後)であった.Grade 3–4の好中球数減少を9コース(33.3%),血小板数減少を2コース(7.4%),Grade 3の下痢を3コース(11.1%)で認めたが,有害事象による治療の遅延はなかった.IT療法は日本人にも実行可能な薬剤の組み合わせであり,また一定の抗腫瘍効果を認めたことから,難治性固形腫瘍の緩和的化学療法として有望である.