日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
臍帯血移植にて救命し得た, サイトメガロウイルス感染症合併重症複合型免疫不全症の1例
平本 梨花大曽根 眞也今村 俊彦石田 宏之高島 健浩今井 耕輔森尾 友宏細井 創
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2015 年 52 巻 5 号 p. 449-453

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抄録

重症複合型免疫不全症(SCID)の根治療法は同種造血細胞移植であるが,移植前にサイトメガロウイルス(CMV)感染症を併発すると移植成績は不良である.今回我々は,CMV感染症を合併したSCIDの児に臍帯血移植(CBT)を行い良好な経過を得た.症例は3カ月男児,主訴は発熱と呼吸困難.精査の結果CMV肺炎と腸炎を合併したSCIDと診断された.ガンシクロビル,γ-グロブリン,ステロイドパルス療法を行ったがCMV感染症は改善せず,ホスカルネットを追加したところ改善した.HLA一致血縁ドナーがなく非血縁CBTを行った.前処置はブスルファン4 mg/kgとフルダラビン180 mg/m2を用いた.好中球は移植後10日で生着し,CMV感染症の再燃なく経過した.移植後1年5カ月まで易感染性なく経過し,成長発達は良好で晩期合併症を認めない.CMV感染症を移植前に制御できたことが,CBT成功の要因と考えられた.

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© 2015 日本小児血液・がん学会
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