2016 年 53 巻 2 号 p. 152-157
症例は7歳男児,1年前より四肢・体幹に散在する小丘疹を認め,多飲・多尿の精査目的に当院入院となった.頭部MRIで下垂体柄の腫大と小脳半球に多発性班状病変を認めた.腰部の丘疹の病理所見で真皮樹状細胞由来の組織球の集蔟を認めた.皮膚・中枢神経系に多数の病変を認めたことよりdisseminated juvenile xanthogranulomaと診断した.多剤併用化学療法を開始し,6週間後には下垂体病変と皮疹は縮小傾向を認めた.1年間の維持療法終了から6か月が経過し,病状の増悪なく生存中である.本疾患は中枢神経系浸潤を来しうるため,適切な治療選択のためにも頭蓋内病変または他の浸潤部位からの組織診断が必須と考えられた.