2016 年 53 巻 3 号 p. 281-285
症例は特に既往のない3歳男児.発熱と呼吸困難で近医を受診し,CTで後縦隔腫瘍を認めため,当院に紹介された.CTで左第8肋骨に著明な骨破壊を呈し,脊柱管へ浸潤する左後縦隔腫瘍と左胸膜の著明な肥厚と左胸水の貯留を認めた.画像からは骨原発腫瘍を強く疑い,年齢を合わせてAskin腫瘍などを疑い化学療法を開始したが,腫瘍生検で低分化型神経芽腫と診断された.本症例は傍脊髄に発生して肋骨と左胸腔へ浸潤する神経芽腫であり,骨随を含む遠隔転移は認めず,MKIはlowでMYCNの増幅なし,以上からINSS Stage 3,COGのリスク分類は高リスクに該当すると考えられた.JNBSGのプロトコールによる化学療法と自家造血幹細胞移植を含めた大量化学療法,後縦隔腫瘍切除術を施行し,切除部位に対して陽子線治療を行った.13cisレチノイン酸の内服を行い,現在術後2年で再発無く生存している.