日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
シンポジウム3: Advances in cell therapies against childhood neoplasms
再発難治性小児急性白血病に対する免疫細胞療法としてのハプロ移植
佐野 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 53 巻 5 号 p. 365-370

詳細
抄録

ハプロ移植は,重篤な移植片対宿主病(GVHD)の発現,移植片の拒絶などによる移植後早期の合併症死亡が多いことから,歴史的にHLA適合ドナーからの移植が推奨されてきた.しかし,ここ10年ほどの間に,海外において,移植後大量シクロフォスファミドを併用したT細胞未処理HLA半合致移植(ハプロ移植)が導入され,安全性が急激に改善し,ドナーソースの拡大のため成人を中心として多くの施設で行われるようになってきた.一方で,ハプロ移植では同種免疫反応によりHLA適合ドナーからの移植より強いGraft versus Leukemia(GVL)効果が得られることが知られており,再発・難治性白血病への応用が期待されている.治療の進歩により小児急性白血病の予後はかなり改善してきたが,予後不良因子を有する再発症例,移植後再発や治療抵抗性が強く寛解導入が困難な白血病症例の予後は明らかに不良であり,長期生存率は30%以下と予測される.これらの難治性急性白血病症例を対象として,我々はGVL効果を最大限に利用した細胞免疫療法としてのハプロ移植を2000年から開発してきた.単一施設の成績ではあるが,3年全生存率は56.5%と良好であり,今後は多施設による臨床試験として前方視的に評価していくことが重要と考えられる.

著者関連情報
© 2016 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top