2016 年 53 巻 5 号 p. 469-473
【緒言】小児不応性血球減少症 (RCC) に対する免疫抑制療法(IST)のキードラッグである抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)はウマ製剤(horse ATG [Lymphogloblin® (LG)])からウサギ製剤(rabbit ATG [Thymogloblin® (TG)])に変更され,未だ至適投与量は定まっていない.今回,RCCに対して低用量TG(low dose TG: LDTG)によるISTが奏功した1例を経験したので報告する.【症例】2歳女児.入院3週間前に発熱と出血斑が見られ,汎血球減少(WBC 2,100/μL, Hb 4.6 g/dL, Plt 3,000/μL)があり当科紹介となった.骨髄検査からRCCと診断し,LDTG(2.5 mg/kg/dayを5日間)によるISTを施行した.IST開始1か月で輸血依存から脱し,6か月時点では再生不良性貧血の治療反応基準のComplete Response相当であった.【結論】LDTGによるISTは汎血球減少には有効だった.しかし,原疾患の再燃や感染症,clonal evolutionなどのリスクは不明であり,TGの至適投与量の確立が待たれる.