日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
様々な治療に抵抗性を示した強皮症型慢性移植片対宿主病に対してimatinibが著効した一例
遠渡 沙緒理横山 能文篠田 邦大豊島 由佳野田 美香安江 志保山下 達也門井 絵美森 真理鷹尾 明
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2017 年 54 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

症例は現在25歳の女性.14歳時に慢性骨髄性白血病を発症し,イマチニブ(IM)にて分子遺伝学的寛解を得た.18歳時にHLA一致の姉より同種骨髄移植を施行したが,移植後3カ月で再発したため,IMにて再度治療を行った後,同一ドナーよりリンパ球輸注を行った.皮膚の慢性移植片対宿主病(cGVHD)を発症し,次第に色素沈着や硬化性病変を伴う強皮症様皮膚へと増悪し,関節拘縮も来した.プレドニゾロン単剤ではコントロール困難であり,エトレチナート,ミコフェノール酸モフェチルを併用したが無効だった.他の薬剤による治療も試みたが,様々な重篤な副作用のため中断せざるを得なかった.IMを100 mg/dayで開始したところ,皮膚硬化や関節拘縮は著明に改善した.過去の報告や我々の経験より,治療抵抗性強皮症型cGVHDに対して,IMが有効である可能性があり,今後の症例の蓄積による有効性の評価が望まれる.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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