2017 年 54 巻 2 号 p. 138-142
小児成熟B細胞腫瘍/非ホジキンリンパ腫(B-NHL)の標準治療は短期集中型の多剤併用化学療法であるが,腎障害合併時に治療強度を担保しつつ安全性を確保できる薬剤の選択にはエビデンスが限られている.今回,初発時に高度の急性腎障害を合併した後腹膜原発バーキットリンパ腫の1歳男児例に対し,腎毒性を有する抗がん剤であるmethotrexate(MTX)などを省いたrituximab併用化学療法を実施した.1コース後に腫瘤は著明に縮小し腎機能が改善したため,2コース以降の治療ではMTXを減量せず,引き続きrituximabを計6回併用した.経過中に重篤な有害事象を認めず,児は発症1年現在無病生存中で,腎機能も正常である.小児B-NHLの治療において,高度の腎障害下でもrituximabは安全で,他のキードラッグの減量または省略を要する際にも効果を保ったまま代替できる可能性がある.