2019 年 56 巻 5 号 p. 402-406
ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)は赤血球造血のみが障害される先天性の骨髄不全症である.タンパク質合成に働くリボソームの機能障害が原因と考えられているが,発症機構は明らかではなく,有効な治療薬も存在しない.私達は,ゼブラフィッシュを用いてDBAの疾患モデルを作製し,このモデルを解析することで発症機構の解明と創薬に取り組んできた.ゼブラフィッシュは,発生が早く胚が透明であること,ヒトとの類似性が高く遺伝子操作が容易であることなどから,優れた疾患モデル動物として注目されている.また,個体レベルで化合物のスクリーニングができるため,創薬においても強力なツールとなる.本稿では,ゼブラフィッシュDBAモデルを用いた患者遺伝子変異の機能解析および発症機構の解析,さらに,in vivoスクリーニングによる薬剤の探索について紹介する.