Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
高齢者臨床的脊椎椎体骨折の発生率と手術に至る割合広島県呉市でのレセプトデータを利用した大規模解析(第1報,第2報から)
濱﨑 貴彦沖本 信和寺元 秀文中川 豪白川 泰山水野 尚之林 隆宏力田 高徳笹重 善朗
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2020 年 11 巻 12 号 p. 1374-1379

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抄録

目的:広島県呉市における椎体骨折の発生率を把握するため,国民健康保険・後期高齢者医療制度被保険者のレセプトデータを抽出して解析し(第91回本会第1報),さらに発症した椎体骨折が手術に至る割合を解析した(第92回本会第2報).

方法:対象は2015年に呉市で国保・後期高齢者被保険者のレセプトデータから傷病名に椎体骨折があり,かつ処置,手術,入院のいずれかがあるものを抽出した.同時期の住民基本台帳から5歳階級別で区分けし抽出した男女5歳階級別人口から発生率を算定した.さらに上記条件に該当したものから経皮的椎体形成術・脊椎固定術を施行したものを抽出した.

結果:人口234,613人のうち65歳以上は77,154人で高齢化率は32.9%であった.65歳以上の国保あるいは後期高齢者の合計加入者は66,317人で同年齢階級人口の86.0%を占めていた.臨床的脊椎椎体骨折の発生数は1,033人/66,317人(男性195人,女性838人),100,000人あたりの発生率は1,558(男性729, 女性2,117,男女比2.90)であった.椎体骨折発生数1,033例中,経皮的椎体形成術施行例は31例(3.0%),脊椎固定術施行例は22例(2.1%),合計53例(5.1%)であった.

考察:本研究は23万人の医療圏における65歳以上のレセプトデータを使用して臨床的椎体骨折の発生率そして手術に至る割合を調査した本邦初の研究である.

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© 2020 Journal of Spine Research編集委員会
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