2023 年 14 巻 9 号 p. 1225-1233
はじめに:新鮮骨粗鬆性椎体骨折を伴う骨粗鬆症患者に対するロモソズマブの治療成績を報告する.
対象と方法:椎体骨折を契機にロモソズマブを用い,12ヶ月以上経過観察可能であった60例を対象とした.骨癒合は臥位と座位のレントゲン側面像における骨折椎体傾斜角の差およびintervertebral cleft signを用いて評価した.骨折椎体の治癒過程における経時的骨硬化が骨密度増加をきたすため,腰椎骨密度は骨折椎体以外の椎体を用いて解析を行った.腰痛はvisual analog scale(VAS)を用いて,日常生活動作はRoland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)を用いて評価した.
結果:治療開始2,3ヶ月後の椎体傾斜角の差は全例5°未満であった.12ヶ月後の骨癒合率は約96.3%であった.腰椎骨密度増加率は6ヶ月後が11.7%,12ヶ月後が17.4%であった.12ヶ月後の大腿骨骨密度増加率は2.1%であった.VAS,RDQともに投与1ヶ月後から有意に低下した.
結語:新鮮椎体骨折へのロモソズマブ投与は骨密度を有意に増加させ有用であった.