2025 年 20 巻 1 号 p. 9-21
【目的】緩和ケアの専門家の地域偏在化が問題となっている日本では,専門家がいない環境で質の高い緩和ケアを提供できる体制づくりが求められている.本研究は,専門家がいない環境で質の高い緩和ケアを提供する方略を概観することを目的とした.【方法】Arksey and O’Malleyの方法論的枠組みでMEDLINE, CINAHL, Cochrane Libraryを用い,英論文のスコーピングレビューを行った.【結果】9文献が選定,四つの《方略》が明らかになった.《ケアの適時性を高めるためのビデオ相談システムの構築》《ジェネラリストの実践を支援するための専門家によるオンライン共診》《切れ目のない緩和ケア提供プロセスをマネジメントできる看護師の育成とその実践に対する支援》《専門家から非専門家への知識や情報の教授》であった.【結論】これらを参考に日本の緩和ケアニーズに合う体制を作り,その効果を明らかにする必要がある.