2025 年 20 巻 4 号 p. 197-202
【緒言】近年のがん治療の進歩により進行がん患者の長期生存が可能となる一方で,遷延性術後痛など治療関連の長期的有害事象への対応が課題となっている.今回,胸部悪性腫瘍術後に発症した開胸術後疼痛症候群(PTPS)に対し,不適切なオピオイド処方により依存に至った症例に脊髄刺激療法(SCS)を導入したことで,疼痛軽減とオピオイド減量に成功した症例を報告する.【症例】32歳女性.手術に伴って生じた神経障害性疼痛に対してオピオイドが増量され,不適切使用により依存状態となった.SCS導入後,オピオイドは減量できactivities of daily living(ADL)は著明に改善した.【結論】SCSはPTPSのような難治性疼痛に対する有効な選択肢であり,がんサバイバーのquality of life(QOL)向上とオピオイド依存回避に寄与し得る.