2026 年 21 巻 3 号 p. 189-194
【目的】葬祭分野では死後変化に伴う出血(死後出血)が生じうることが知られている.国内の急性期病院2施設の死亡退院患者を対象に,血管留置物抜去に伴う死後出血の実態を明らかにする.【方法】2024年2月から2026年4月に死亡退院した症例を対象とした.死亡後に抜去した留置物などの情報を記入した用紙を葬祭業者へ引き継ぎ,死後出血の有無,汚染範囲,発生時間等を記録後に回収した.【結果】出血頻度は4.0%(9/224箇所)であった.動脈穿刺部は静脈穿刺部よりも発生頻度が多かった(16% vs. 3%, p<0.05).衣類および寝具を広範囲に汚染した例が3例あり,発生時間は死亡後約17時間(中央値)で,最長38時間の症例も認めた.1例は遺族が発見していた.【結論】血管留置物抜去に伴う死後出血の頻度に加え,長時間経過後の発生や広範囲の汚染になりうることが判明した.死後処置の検討や遺族説明の工夫が必要である.