2022 年 47 巻 3 号 p. 314-319
症例は4歳11か月の女児.4歳11か月時に右上肢の単純部分発作で当院受診し,CTで左頭頂葉の皮質下出血を認め,左頭頂葉にsingle feeder-single drainerのpial arteriovenous fistula(AVF)と左シルビウス裂にsingle feeder-dual drainersのpial AVFが指摘された.出血急性期が過ぎた発症4か月後に手術目的に再入院となったが,術前精査のMRIで左頭頂葉pial AVFは自然閉塞が疑われ,脳血管撮影で確認できた.発症10か月後には左シルビウス裂のdrainerの1つがlow flowとなり発症15か月後には残りのdrainerもlow flowとなった.pial AVFはまれな疾患でありその自然歴は明らかではない.機序が不明なため保存的加療を勧めるものではないが,自然経過で閉塞やflow reductionを起こす症例もごく少数ながら存在する.