周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第16回
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シンポジウム B:子宮内感染と早産
子宮内感染の予知
谷 昭博吉田 耕太郎今井 雅夫田口 雅之荒井 忠士前原 大介金井 雄二新井 努川口 美和斎藤 克庄田 隆吉原 一天野 完島田 信宏西島 正博市川 恵子
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p. 101-109

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抄録

 緒言

 早産・前期破水の発生の一因として絨毛羊膜炎の関与が指摘されてきた。腟内細菌の上行性感染により脱落膜中のマクロファージを代表とする免疫担当細胞が活性化するとさまざまなサイトカインがネットワークを形成しながら放出される。IL-1β, TNFαによるプロスタグランジン誘導作用やIL-8による頸管熟化作用は早産を誘導する。またサイトカインによる組織炎症反応は,卵膜の脆弱化をきたし,細菌,マクロファージなどの羊水腔への移行を可能とする一方,前期破水を発生させるとされる。このような状況下での早産・前期破水の問題点は,児の未熟性を改善させるため子宮収縮抑制剤を投与し待機策をとるため,速やかに分娩に至る正期産とは異なり,絨毛羊膜炎がはじめに存在しない場合でも,子宮口開大が存在すれば腟内細菌と子宮内組織の接触が起き,時間経過とともに羊水感染をきたし,細菌感染が胎児に波及する恐れがある点と,免疫能も未熟な早産胎児は易感染性であり容易に敗血症,髄膜炎に移行する点である。そのため臨床的にはどのタイミングで胎児を娩出させるかが最も重要な課題となる。

 そこで今回羊水中サイトカイン濃度を測定し,子宮内感染を予知可能かどうか,羊水中の抗菌関連物質としてリゾチーム濃度とリン酸・亜鉛比を検討し,子宮内感染との関連を検討した。

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© 1998 日本周産期・新生児医学会
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