2016 年 32 巻 3 号 p. 166-171
視覚障害者が実物に触れて観察することが難しいものや現象を知る手段として,触察模型が有効なことがある.視覚特別支援学校等では,古くから教材として活用されてきたが,その多くが手作業による製作のため十分普及しているとはいえない.私たちは,触察模型製作に3次元造型機の利用が有効と考え,いくつか試作を行った.その結果,触察に耐える精度と触感で製作できることがわかったが,その工程はけっして簡単ではなかった.触察に適したデータの入手と加工,素材の選択,使用ソフトウェアの操作方法の習得等,多くの課題が明らかとなったので報告する.