2019 年 35 巻 2 号 p. 153-156
義肢·装具に関連するインシデントの現状を知るために,公的に利用可能な情報源をもとに調査した.このうち,日本医療機能評価機構による医療事故情報データベースで検索された義足関連インシデントは21件,装具使用者の転倒に関する事例は装具に起因しない例も含め62件であった.日本褥瘡学会による医療関連機器圧迫創傷に関する調査では,装具による傷等の有病率が明らかとなっている.このほか,日本義肢協会による「事故対応状況報告書」,NITEによる「事故情報データバンクシステム」では具体的な事故事例が記述されている.義肢·装具インシデントを未然に防ぐために,発生したインシデントの報告とその共有が必要であり,関連学術組織あるいは職能団体による取り組みが必要であると考えられた.