2012 年 17 巻 1 号 p. 112-120
月経随伴症状は多くの女性が経験するものであり,月経前症状を訴え医療機関を受診する女性と一般女性の境界は曖昧である.本研究は,月経前症候群患者について,一般成熟期女性と比較して,月経前症状や生活習慣における特徴を明らかにすることを目的とした.成熟期女性244名(PMS患者82名を受診患者群,一般女性162名を非受診者群)を対象とし,月経前症状,就労状況,生活習慣(食生活,睡眠状況,嗜好品,運動等)について横断的に調査した.PMS受診患者群,非受診者群間における月経前症状発症頻度の比較では,身体症状は,手足のむくみ,頭痛,腹痛,精神症状は,いら立ち,気分の沈み,情緒不安定,ひきこもり傾向に関して,PMS受診患者群では有意に発症頻度が高いことが明らかとなった.年齢別患者背景の比較の検討では,両群において,29歳以下の低年齢層における腹痛の発症頻度が高く,市販の非ステロイド性解熱性鎮痛薬の使用により月経前症状の対処をしている傾向にあった.生活習慣の比較の検討では,PMS受診患者は,非受診者と比較して,治療前から規則正しい生活習慣を実践している傾向にあり,日常のストレスが月経前症状の増悪を招いていると自覚している傾向にあった.