女性心身医学
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研究報告
SNS“Twitter”による産後女性のエジンバラ産後うつ病自己評価票の日内変動の分析
伊田 瞳安達 太郎森田 麻里子河本 輝敬渡部 良雄新家 俊郎相良 博典
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2022 年 26 巻 3 号 p. 363-368

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抄録

エジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale, EPDS)は産後うつ病のスクリーニングとして本邦で広く用いられるが,ほとんどが日中の医療機関受診時に評価され,産後うつ症状やEPDSの日内変動についての報告は少ない.一方で,Twitterをはじめとしたソーシャルネットワーキングサイト(以下SNSとする)は母親の情報交換,経験や感情を共有するためのプラットフォームとして近年大きく需要が高まっている.我々は特定のハッシュタグを用いEPDSの点数を併記した上睡眠についてのTwitterへの自由投稿を促すオンライン上のイベントを開催し,うつ症状を有する産後女性の睡眠における特性を評価した.今回同研究のサブ解析によりEPDS点数の日内変動の可能性が示唆されたため報告する.2020年1月11日午後8時よりオンライン上であらかじめ著者らが指定したハッシュタグ「#0歳児ママ睡眠ツイオフ」を用い,産後の睡眠についてTwitterで投稿するよう呼びかけた.同時にウェブ上で回答できるEPDSのURLを付記し,投稿に併記するよう呼びかけた.開催から24時間で2,326ツイートの投稿を認め,うち2,195ツイートの投稿にEPDSが付記されていた.投稿されたEPDS点数の中央値は9±0.6点であり,投稿の57%にあたる1,241ツイートがEPDSのカットオフ値である9点以上を有していた.また,午前4時をピークとして明け方にEPDSスコアの中央値が上昇に転じる現象が認められた.我々の調査において,先行文献に比してEPDS点数が総じて高値であり時間帯によって変動が認められた.産後うつ症状が日内変動をきたす可能性や,実臨床でのEPDS点数が実際の点数より低く報告される可能性について注意していく必要を示唆する.

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© 2022 一般社団法人 日本女性心身医学会
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