日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ソラマメ孔辺細胞におけるABAに応答する蛋白質リン酸化反応の解析
*高橋 洋平木下 俊則島崎 研一郎
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p. 315

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抄録
植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は植物の気孔を閉鎖させ、乾燥条件下での植物体からの水分の損失を防いでいる。近年、気孔孔辺細胞でのABAシグナル伝達においてプロテインキナーゼやホスファターゼが重要な役割を担うことが示されているが、これまで孔辺細胞におけるABAに応答したリン酸化反応を詳細に解析した例は少ない。今回我々はソラマメ孔辺細胞においてABAに応答してリン酸化レベルの変動する蛋白質を、様々なリン酸化蛋白質と結合することが知られている14-3-3蛋白質をプローブに用いて検出した。その結果、複数の14-3-3結合蛋白質を見出したが、なかでも約61 kDaの可溶性蛋白質がABAに応答して14-3-3蛋白質と強く結合することがわかった。これは生理的な濃度のABAによって数分以内に起こる孔辺細胞に特異的な反応で、幅広いプロテインキナーゼを阻害するK-252aによって阻害された。さらに、ABAシグナル伝達の重要な2次メッセンジャーと考えられているreactive oxygen species (ROS)のH2 O2 やROS生成阻害剤は、ABAに依存する61 kDa蛋白質への14-3-3蛋白質の結合に影響しなかった。これらの結果から、61 kDa蛋白質はABAに応答してリン酸化され、ABAシグナル伝達においてROS生成の上流または別経路に関与していると考えられる。
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© 2006 日本植物生理学会
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