抄録
Hsp90は酵母やショウジョウバエにおいて生存に必須なタンパク質である。一方、原核生物のHsp90であるHtpGは、大腸菌や枯草菌でその破壊株において明確な表現型が現れないことから、その機能はわかっていなかった。しかし我々がシアノバクテリアSynechococcus sp. PCC 7942のhtpG破壊株を作成し表現型を解析したところ、致死温度処理後の生存率に顕著な差が観察され、シアノバクテリアにおいて原核生物におけるHtpGの必要性が初めて明らかとなった。本研究では、HtpGとDnaKシャペロン系との相互作用を調べるために、酵母ツーハイブリッド法と免疫沈降法による解析を行った。これらの方法で、シアノバクテリアSynechococcus sp. PCC 7942のHtpGとDnaJ2(Hsp40)が相互作用することが明らかになった。Hsp40はHsp70のコシャペロンであり、シアノバクテリアではHsp70のホモログであるDnaKが存在する。真核生物においてHsp90とHsp70が共同して働くことが明らかにされており、原核生物であるシアノバクテリアにおいてもHtpGとDnaKシャペロン系が共同して働くことが期待される。