日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

グルタチオンは種子発芽においてシロイヌナズナチロシンフォスファターゼAtPTP1の活性およびその下流の経路に抑制的に作用する
*逸見 健司岩渕 雅樹小川 健一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0226

詳細
抄録
我々はシロイヌナズナのプロテインチロシンフォスファターゼ(AtPTP1)が、活性中心にはないC175の酸化還元状態で活性が調節され、C175をセリン残基に置換した変異酵素(C175S)は酸化型グルタチオン(GSSG)による阻害を受けないことを報告した(2008年度本大会)。植物体内でもC175がレドックス制御を受けているか調べるために、野生型またはC175Sを高発現する形質転換体を用いて、レドックス制御下の現象である種子発芽における表現型を解析した。非形質転換体およびこれらの形質転換体の発芽率は、GSSGによってほとんど影響を受けなかった。アブシジン酸(ABA)による発芽抑制は、AtPTP1の発現に依存して強められたが、C175Sの発現によりさらに強められた。その抑制はGSSGで緩和されたが、C175Sの方が野生型酵素と比べるとより大きく緩和された。以上から、AtPTP1はABAの種子発芽抑制を促進するが、GSSGによる促進効果の抑制はC175を介した直接的な阻害経路と、AtPTP1の下流の抑制的経路によって起こると示唆された。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top