日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻のCbbRホモログによる2-ホスホグリコール酸を介したCCM関連遺伝子群の転写制御機構
*西村 崇史岡田 友子前田 真一小俣 達男
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p. 0298

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抄録
ラン藻には、光合成細菌・化学合成細菌のcbbオペロン転写因子CbbRのホモログが複数存在する。Synechococcus elongatus strain PCC7942のCbbRホモログの1つであるCmpRは、高親和性ABC型HCO3-トランスポーターBCT1をコードするcmpABCDオペロンの低CO2条件に応答した誘導に関与し、そのcmpA上流領域中の発現制御領域への結合は2-ホスホグリコール酸(2-PG)により促進される。2-PGは低CO2条件で細胞内濃度が上昇すると考えられる分子である。一方で、高親和性CO2取り込み機構NDH-I3をコードするndhF3D3chpYndhF3オペロン)に対しては、CmpRは高CO2条件における抑制因子として働くことがマイクロアレイ解析の結果から推定された。ndhF3の上流にはCbbRホモログに特徴的な結合認識配列が存在しなかったが、ゲルシフト解析によりCmpRがndhF3の転写開始点付近に結合することが示された。ndhF3転写開始点付近へのCmpRの結合は2-PGを必要としなかったが、2-PGを添加すると、より上流側に新たなCmpR結合サイトが現れた。これらの結果より、ndhF3オペロンの低CO2応答機構として、2-PGを介したCmpRの結合部位の切り替えによる転写制御機構の存在が推定された。
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© 2009 日本植物生理学会
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