日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの受精卵極性と体軸形成の制御機構
*植田 美那子Laux Thomas東山 哲也
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p. 0474

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抄録
高等生物は複雑な構造をもつが、それらは全て受精卵という単一細胞に由来する。高等植物の受精卵は高度な細胞極性をもち、その不等分裂によって異なる発生運命をもつ娘細胞を生じる。この際の軸性は成熟体の頂端?基部軸に相当するが、初期発生の過程で体軸が形成される仕組みについては現在でもほとんど分かっていない。
シロイヌナズナのホメオボックス型転写因子をコードするWOX8 (WUSCHEL RELATED HOMEOBOX8)遺伝子は受精卵で発現し、その不等分裂後には一方の基部側の娘細胞にのみ発現が受け継がれる。その後も胚発生後期に至るまで、WOX8は基部細胞系列のみで発現を続け、胚のパターン形成に重要な役割を果たすことが明らかとなってきた。我々の解析から、WOX8の非対称発現は既知の軸性因子には依存しないこと、およびその発現は複数の異なるcis配列により冗長的に制御されることが判明した。これらのcis配列に結合する転写因子群を同定したところ、それら欠損株では受精卵におけるWOX8の発現レベルが低下し、胚での発現領域が縮小した。さらに、受精卵の細胞極性や胚の軸性も損なわれたことから、これらの転写因子は体軸形成に必須の新規制御因子群であることが明らかとなった。
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© 2009 日本植物生理学会
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