日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケの新規エンド型転移酵素/加水分解酵素(XTH)遺伝子群の機能解析
*横山 隆亮上垣 陽平原田 太郎日渡 祐二長谷部 光泰西谷 和彦
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p. 0491

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抄録
エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)はキシログルカンの繋ぎ換えまたは分解反応を触媒する酵素であり、結晶性セルロース微繊維とキシログルカンの架橋構造から成る細胞壁の構築・再編には必要不可欠な酵素である。これまでの研究で、種子植物においては、XTH遺伝子が大きな遺伝子ファミリーを形成していること、そして各XTH遺伝子メンバーがそれぞれ特定の組織で働いていることが明らかになっている。これらの事実から、種子植物においては、多様化した組織の細胞壁構築・再編のために多数のXTH遺伝子が派生してきたことが示唆されている。一方、維管束を持たず、細胞型が比較的少ないとされるコケ植物のXTH遺伝子構成についての知見はほとんどない。そこで我々は、ヒメツリガネゴケのゲノム情報を用いて、コケ植物のXTH遺伝子ファミリーの全容解明を試みた。この結果、ヒメツリガネゴケにおいても、種子植物と同じ規模のXTH遺伝子ファミリーが存在することが判明したが、コケの中には種子植物のXTHとは全く構造の異なるXTHが多数存在することも明らかになった。我々は、コケ固有の新規XTHについて、発現解析と逆遺伝学的手法による機能解析を行い、コケ独自に派生したXTH遺伝子群の役割の解明を目指している。
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© 2009 日本植物生理学会
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